最近公表された気道確保困難の管理に関する2022年ASAガイドラインは、旧ガイドラインから大幅に変更されている。これらの変更は臨床医の意思決定支援を目的としている。気道管理器具が改良されるものの、人的要因の懸念、チームベースのパフォーマンス、および認知エラーは未だに安全な気道管理の障壁となっている。変更が難しい場合もあるが、本記事では、ガイドラインの重要な変更に焦点を当てる。
グローバル パートナー マーケティング エージェンシーの創設者で取締役会会長の Robert Glazer 氏は、毎週金曜日に「Friday Forward」というブログをアップしている(https://www.robertglazer.com/fridayfwd/)。このブログはすごくお薦めだが、その中で、彼は変化の 4 つの段階を説明している。
- 混乱と驚き—「えっ、なんで変えたの?」
- 相違への反応—「なんで違うの?これは受け入れられないかも」
- 過去を懐かしむ—「これは良くない、旧版に戻せたらいいのに」
- 適応と受容—「うーん、実はこの方が良いかも、受け入れられそうだ」
読者の多くは、気道確保困難管理の新しいASA診療ガイドラインに対してこれらの反応のいずれかを経験したかもしれない。読者が変化のどの段階にいるかに関係なく、本記事ではガイドラインの変更に焦点を当て、変化の最終段階に近づくように案内する。
ガイドラインの歴史
気道確保困難管理の最初のASA診療ガイドラインは1993年に発行された。それ以来、医療水準と診療パラメータに関するASA委員会(現在は診療パラメータに関する委員会)は、さまざまなタスクフォースによって発行された各ガイドラインを5年ごとにレビューする任務を負っている。さらに、各ガイドラインは少なくとも10年ごとに完全な改訂をしなければならない。2022年1月に発行されたこの版は、2013年のASAガイドラインの改訂である。1 本記事では、旧ガイドラインからの基本的な変更点を要約し、気道管理の患者安全を高めるための重要な考慮事項を強調している。
新しい国際的視点
本ガイドラインは、米国、インド、アイルランド、イタリア、スイス、およびいくつかのサブスペシャリティ組織を代表する麻酔科医と方法論専門家を含む15人のメンバーからなるタスク フォースによって作成された。
小児と成人患者の両方のガイダンス
従来、これらのガイドラインは成人の気道管理に焦点を当ててきた。しかし、麻酔専門家が小児を管理する機会が増えている。今回のガイドラインには、小児の気道確保困難に関するエビデンスと専門家の意見が含まれている。これは、ガイドラインをより包括的にする重要な変更である。
新しいテクノロジー、文献、専門家の意見のエビデンス
この更新では、数千もの抄録をレビューして560件に絞った参考文献に基づくエビデンスをまとめている。さらに、科学的証拠が不十分またはあいまいなトピックについては、専門コンサルタント、ASA会員および参加10施設に反復調査をした。また、標準および困難な気道確保管理に利用できる器具とテクノロジーも更新された。
酸素供給と二酸化炭素の確認を強調
この改訂版では、気道確保困難管理中と抜管中を通しての酸素投与が強調されている。さらに、旧版と同様に気管挿管を確認するためにカプノグラフィーを使用することを強調している。
試行回数、経過時間、酸素飽和度の状況認識
これらの更新されたガイドラインは、気道確保管理中の経過時間に注意を払うことの重要性を強調している。チームがタスクを固定して、1 つのアプローチを繰り返すことに気を取られ、代替手段を考慮するのを忘れてしまうことがあまりにも多い。さらに、酸素飽和度を認識することで、早期介入と意思決定が可能になり、試行回数を制限できる。この状況認識向上は、臨床医が計画された気道確保管理を着実に進め、外科的気道確保の必要性を早期に認識するのに役立つ可能性がある。チーム中心のアプローチが最適であり、1 つのアプローチとして、直接気道管理に関与しないオブザーバーをタスク固定調停者として割り当てることが挙げられる。
意識下と麻酔導入後気道管理の麻酔導入前意思決定チャート
旧ガイドラインは、気道確保困難の管理戦略の計画と潜在的障壁の特定に役立った。それらには、意識下気道確保管理に関する意思決定に役立つ質問が含まれていた。しかし、判断ミス(適応がある時に意識下挿管を行わないこと)が気道確保の失敗につながっていることがいくつかのレビューで報告されている。2,3 意思決定をさらにサポートするために、この更新には、意識下気道管理がいつ適応となるかの判断を支援するデシジョンツリーが含まれている(図1、パート 1)。このデシジョンツリーは、タスクフォースのメンバーによって2004年に公表された成果を進化させた拡張版として、2022年のASAアルゴリズムに取り入れられている。4 成人患者の意識下挿管を考慮するべき条件は、(1)換気困難(フェイスマスク/声門上器具)、(2)誤嚥リスク増加、(3)短時間の無呼吸に耐えられない、(4)緊急の侵襲的気道アクセスの困難が予想される場合である。
さらに、新しい図には、通常の麻酔導入後に挿管失敗した際のエントリーポイントが含まれており、予期しない気道確保困難に直接言及している。
気道確保困難インフォグラフィック:成人患者例。この図は、気道管理計画、気道確保困難が予想される患者の気道管理、予期しなかった気道確保困難の管理の3つの支援ツールを提示している。パート1は、評価の関連要素を組み込んだ意思決定ツールであり、ASA気道確保困難アルゴリズムの意識下気道管理経路または麻酔導入後気道管理経路に入る意思決定を支援することを意図している。パート2は、意識下挿管アルゴリズムである。パート3は、麻酔導入後に計画した気道確保法で予期しない換気困難(カプノグラフィーで判断)に直面したときの患者管理戦略である。a.気道担当者による評価と気道確保手技の選択は、過去の経験・器具・利用可能性・救援能力などの利用可能な資源、気道管理が行われる状況に基づくべきである。b.気道戦略の再確認:解剖学的/生理学的な気道確保困難リスク、誤嚥リスク、感染リスク、その他の曝露リスク、器具とモニタリングの確認、役割分担およびバックアップやレスキュー計画を考慮する。意識下気道確保法には、気管支ファイバー、ビデオ喉頭鏡、直視型喉頭鏡、声門上器具、デバイスの併用、および逆行性ワイヤーガイド挿管が含まれる。 c.十分な換気 :どのような手段(フェイスマスク、声門上器具、気管挿管など)であっても十分な換気を、可能であればカプノグラフィーで確認するべきである。d.フォローアップケアには、抜管後ケア(ステロイド、ラセミ体アドレナリン)、カウンセリング、記録、チームのデブリーフィングおよび患者気道確保困難レジストリへの登録の奨励が含まれる。e.症例/挿管を延期し、適切な資源(人員、器具、患者の準備、意識下挿管など)を揃えてから再開する。f.侵襲的気道確保には、外科的輪状甲状靭帯切開術、圧調節装置付き針輪状甲状靭帯穿刺術、大口径静脈留置針輪状甲状靭帯穿刺術、または外科的気管切開術が含まれる。待機的侵襲的気道確保には、上記に加え、逆行性ワイヤーガイド挿管、および経皮的気管切開術が含まれる。その他の選択肢には、硬性気管支鏡とECMOが含まれる。g.侵襲的気道確保は、可能な限り、侵襲的気道確保手技の訓練を受けた医師が実施する。h.患者の状態が不安定な場合や、意識下挿管に失敗した後でも気道管理が必須である場合には、緊急の侵襲的気道確保の準備をしつつ、麻酔導入後気道管理経路へ切り替えることもある。i.手技中を通して低流量または高流量の鼻カニューレ、頭部挙上位。前酸素化中の非侵襲的換気。j. 気管挿管と声門上器具挿入の試行回数を制限する意図は、マスク換気および/またはその後の気道確保の施行がより困難になる恐れのある出血、浮腫、その他の外傷のリスクを軽減することである。無効なマスク換気などの気道介入を継続していると、緊急の侵襲的気道確保が遅れてしまう可能性がある。合理的なアプローチは、どの手法(フェイスマスク、声門上器具、気管チューブ)でも試行を3回までに制限し、より高いスキルを持つ臨床医が1回追加で試行することであると考えられる。k.最適化:吸引、筋弛緩薬、ポジション再調整。フェイスマスク:口腔/経鼻エアウェイ、両手マスク保持。声門上器具: サイズ、デザイン、位置調整、第1世代対第2世代。気管チューブ: イントロデューサー、リジッド スタイレット、強弯ブレードビデオ喉頭鏡、ブレードサイズ、外部喉頭操作。不十分な換気の他の原因を考慮する(喉頭痙攣や気管支痙攣など)l.最初またはレスキューの声門上器具で挿管機能を備えた第1世代対第2世代の声門上器具。m.最初またはレスキューの気管挿管の選択肢としてのビデオ喉頭鏡。
成人と小児の気道確保困難管理の新しいアルゴリズムとインフォグラフィック
新しいインフォグラフィックの流れ図と「リアルタイム」での使いやすさを改善するために多大な時間と労力が費やされた。新しいアルゴリズムには、意識下気道確保を続行するかどうかを決定するための選択肢を含むセクション(図 1、パート2)と、「リアルタイム」の使用により適したセクション(図 1、パート3)が含まれるようになった。グラフィックデザインによる流れ図は、アルゴリズムというより認知支援のようであるが、リアルタイムでの使用前に確認と習熟が必要である。
どちらのインフォグラフィックも、換気可能かどうかを表すために色分けされている。緑色は換気が容易であること、黄色は換気が不十分/限界であること、赤色は換気が不可能であることを表す。気道管理の開始前にプランについて話し合うタイムアウトを実施するべきである。
チームは、 主気道担当者、バックアップ気道担当者、使用する器具およびできれば援助可能な人を明確にするべきである。いずれのインフォグラフィックも、各試行または介入後に換気を評価することの重要性を強調している。この評価結果により、臨床医はアルゴリズムの別のポイントへと移るかもしれない。
小児のアルゴリズムでは、気道確保困難な小児を管理するための3つの主なツールである声門上器具(SGA: supraglottic airway)、気管支ファイバー (FIS: flexible intubation scope)、およびビデオ喉頭鏡(VL: video laryngoscopy)が強調されている(図 2)。これらのデバイスは、個別で失敗した場合に組み合わせて使用することも可能である(FIS + SGA または FIS +VL など)。これらのツールは、換気が容易なゾーンでの使用に最も適している。ただし、換気が困難な場合、臨床医は、フェイスマスク、声門上器具、補助具を使用して換気を再確立するために最善を尽くし、また、成功する可能性が最も高い手法で気管挿管を行うために最善を尽くすことに集中するべきである。どちらのインフォグラフィックも、試行回数を制限することの重要性を強調している。小児のアルゴリズムは、治療法が異なる機能的閉塞と解剖学的閉塞を区別することの重要性を強調している。機能的閉塞には薬剤が必要であり、解剖学的閉塞には口腔咽頭エアウェイ、鼻咽頭エアウェイ、声門上器具などのデバイスが必要である。得られた教訓を体系化し、チームメンバーが難しい感情を表現できるようにし、改善のためのギャップを特定するために、気道管理後にチームのデブリーフィングを考慮するべきである。
気道確保困難インフォグラフィック:小児患者の例。A. 気道管理計画の確認のためのタイムアウト。チームアプローチで以下の項目を明確にすることを推奨する:主気道担当者とバックアップ担当者と役割の割り当て、最初に使う器具とバックアップ器具および救援できる人員。非侵襲的な気道管理が失敗する可能性が高い場合は、ECMOチーム/耳鼻咽喉科医に連絡する(例:先天性気道閉塞、気道腫瘍など)。B. 色彩設計。色は酸素化/換気能力を表す:緑、酸素化/換気が容易;黄色、酸素化/換気が困難または不十分/限界; 赤、酸素化/換気が不可能。試行ごとに酸素化/換気を再評価し、酸素化/換気チェックの結果に基づき適切なボックスに移動する。C. 非緊急経路(挿管困難であることがわかっている、または予想される場合の十分な酸素化/換気):気道管理中を通して酸素を供給する。主気道担当者が最も慣れている方法/デバイスを使用して気道管理を試行する。以下のデバイスから選択:声門上器具、ビデオ喉頭鏡、気管支ファイバー、またはこれらのデバイスの組み合わせ (例: 声門上器具を介した気管支ファイバー挿管);他の方法(例:照明付きスタイレットまたはリジッドスタイレットが臨床医の裁量で使用される場合がある); 必要に応じてデバイスを最適な状態にしたり、デバイスを代えたりする。各試行後に換気を再評価する。直視型喉頭鏡の試行を制限(例えば1回)し、直視型喉頭鏡の代わりに標準ブレードビデオ喉頭鏡を考慮する。主気道担当者による合計試行回数(挿管器具の挿入から抜去まで)を制限(例えば3回)し、二次気道担当者が追加の1回を試行する。4回の試行後、可能であれば患者を覚醒させ麻酔薬を拮抗することを考慮する。患者のベネフィットがリスクを上回る場合は、さらに試行を重ねてもよい。D. 限界/緊急経路(挿管困難であることがわかっている、または予想される場合の酸素化/換気が不十分または欠如):機能的(例:薬物による気道反射)および解剖学的(機械的)閉塞を治療する。フェイスマスク、気管挿管、声門上器具を適切に使用して換気改善を図る。すべての選択肢が失敗した場合は、患者を覚醒させるか、高度な侵襲的手技を使用することを考慮する。 E. 気道確保困難に直面した後は毎回、チームによるデブリーフィングを考慮する。うまく機能したこととシステム改善の機会を特定し、特に患者が重篤化または死亡した場合は、チームメンバーに精神的なサポートを提供する。
Society for Pediatric AnesthesiaとPediatric Difficult Intubation Collaborativeで共同作成:John E. Fiadjoe, MD; Thomas Engelhardt, MD, PhD, FRCA; Nicola Disma, MD; Narasimhan Jagannathan, MD, MBA; Britta S. von Ungern-Sternberg, MD, PhD, DEAA, FANZCAとPete G. Kovatsis, MD, FAAP。
小児の強調点
体外式膜型人工肺(ECMO)の早期の検討が、小児気道管理で強調されている。小児では、吸入麻酔導入後の気道管理が典型的であり、意識下挿管は一般的に行われない。ガイドラインは、各挿管試行ごとに換気評価を行い、適切な麻酔深度を維持することの重要性を強調している。試行回数は最小限に留めるべきである。他に考慮するべきレスキュー手段として、使用方法に精通した臨床医による硬性気管支鏡が含まれる。気管チューブ交換用カテーテルは、小児には注意して、経験のある臨床医が使用するべきである。ミスの許容範囲はわずかであり、カテーテルによって気道に穴が開いた場合、気胸や縦隔気腫などの重大な合併症が生じる可能性がある。
デバイスとテクノロジー
無作為化試験のメタ分析で、気道確保困難が予測される患者におけるビデオ喉頭鏡は、直視型喉頭鏡と比較して、喉頭の視野と初回試行での挿管の成功を改善することが実証されている。5-15 これらのアウトカムについて、ビデオ喉頭鏡を気管支ファイバーと比較した場合は、有意差がはっきりとしなかった。興味深いことに、気道確保困難が予想される患者を対象に強弯ブレードビデオ喉頭鏡を非強弯ブレードビデオ喉頭鏡と比較した無作為化研究でも同じアウトカムについて有意差がはっきりとしなかった。13 デバイスを組み合わせる方法は、気道確保困難が予想される患者の挿管の成功を改善する可能性がある。たとえば、声門上器具を介して気管支ファイバーを使用すると、気管支ファイバーのみを使用するよりも初回施行の成功率が高くなった。16-19
抜管と記録
ガイドラインは、抜管戦略を立て、必要に応じて再挿管の準備をすることの重要性を強調している。人員、抜管場所、利用可能な器具を考慮するべきである。気道確保困難な患者の抜管後に、迅速な再挿管ができるよう、臨床医は気管チューブ交換用カテーテルまたはラリンジアルマスクの使用を考慮するべきである。ガイドラインは、コミュニケーションと記録の重要性を強調している。実際の管理の内容は、患者に伝え、手紙として記録しなければならない。患者には緊急通知サービスに登録するよう勧めるべきである。詳細な記載を医療記録に追記するべきである。
ASA代議員会の承認
ASA代議員会は、医療水準と診療パラメータに関するASA委員会からのすべての成果を承認しなければならない。ガイドラインの草案は、全員が確認できるようにASAウェブサイトに掲載された。提出されたすべてのコメントについて、それらを反映させるか検討された。興味深いことに、ASA会員で以前の白黒版のアルゴリズムスタイルを好んでいるというコメントがよく見受けられた。そのため、2021年10月のASA年次総会でASA代議員会の承認後、アルゴリズムは主に元の形式が維持され、修正は軽微なものに留められた(図3および4)。
図3:気道確保困難アルゴリズム:成人患者1.気道担当者の気道戦略と気道確保手技の選択は、過去の経験、器具、利用可能性・救援能力などの利用可能な資源、気道管理が行われる状況に基づくべきである。2.手技中を通して低流量または高流量の鼻カニューレ、頭部挙上位。前酸素化中の非侵襲的換気。3.意識下挿管法には、気管支ファイバー、ビデオ喉頭鏡、直視型喉頭鏡、デバイスを組み合わせる方法、および逆行性ワイヤーガイド挿管が含まれる。4.その他の選択肢には、代替の意識下気道確保法、意識下待機的侵襲的気道確保法、代替麻酔法、患者が不安定で延期できない場合の緊急侵襲的気道確保の準備と並行した麻酔導入、および上記選択肢を試みずに症例を延期することなどが含まれる。5.侵襲的気道確保法には、外科的輪状甲状靭帯切開術、圧調整装置付き針輪状甲状靭帯穿刺術、大口径静脈留置針輪状甲状靭帯穿刺術、または外科的気管切開術が含まれる。選択的侵襲的気道確保術には、上記および逆行性ワイヤーガイド挿管と経皮的気管切開術が含まれる。硬性気管支鏡と ECMOも考慮する。6.声門上器具のサイズ、デザイン、位置調整、および第1世代対第2世代を考慮することで、換気能力が改善する場合がある。7. 代替の挿管困難アプローチには、ビデオ支援喉頭鏡、代替喉頭鏡ブレード、デバイスを組み合わせる方法、挿管用声門上器具(気管支ファイバーガイダンスの有無)、気管支ファイバー、イントロデューサー、および照明付きスタイレットまたはライトワンドなどが含まれる。挿管試行中に使用される補助具には、気管チューブ イントロデューサー、リジッドスタイレット、挿管スタイレット、またはチューブ チェンジャーおよび外部喉頭操作が含まれる。8.症例を延期するか、挿管を延期し、適切な資源(人員、器具、患者の準備、意識下挿管など)を揃えてから再開する。9.その他の選択肢には、フェイスマスクまたは声門上器具を使用して手術を行うことなども含まれる。これらの選択肢を使用することは、通常、換気が問題にならないことを意味する。
図4:気道確保困難アルゴリズム:小児患者1.気道担当者による評価と気道確保手技の選択は、過去の経験、器具・利用可能性・救援能力などの利用可能な資源、気道管理が行われる状況に基づくべきである。2.手技中を通して低流量または高流量の鼻カニューレ、頭部挙上位。前酸素化中の非侵襲的換気。3.意識下挿管法には、気管支ファイバー、ビデオ喉頭鏡、直視型喉頭鏡、デバイスを組み合わせる方法、および逆行性ワイヤーガイド挿管が含まれる。4.その他の選択肢には、代替の意識下気道確保法、意識下選択的侵襲的気道確保法、代替麻酔法、患者が不安定で延期できない場合の緊急侵襲的気道確保の準備と並行した麻酔導入、および上記選択肢を試みずに症例を延期することなどが含まれる。5.侵襲的気道確保法には、外科的輪状甲状靭帯切開術、圧調整装置付き針輪状甲状靭帯穿刺術、大口径静脈留置針輪状甲状靭帯穿刺術、または外科的気管切開術が含まれる。選択的侵襲的気道確保術には、上記および逆行性ワイヤーガイド挿管と経皮的気管切開術が含まれる。硬性気管支鏡と ECMOも考慮する。6.症例を延期するか、挿管を延期し、適切な資源(人員、器具、患者の準備、意識下挿管など)を揃えてから再開する。7.代替の挿管困難アプローチには、ビデオ支援喉頭鏡、代替喉頭鏡ブレード、デバイスを組み合わせる方法、挿管用声門上器具(気管支ファイバーガイダンスの有無)、気管支ファイバー、イントロデューサー、および照明付きスタイレットなどが含まれる。挿管試行中に使用される補助具には、気管チューブ イントロデューサー、リジッドスタイレット、挿管スタイレット、またはチューブ チェンジャーおよび外部喉頭操作が含まれる。8.その他の選択肢には、フェイスマスクまたは声門上器具を使用して手術を行うことなども含まれる。これらの選択肢を使用することは、通常、換気が問題にならないことを意味する。
Society for Pediatric AnesthesiaとPediatric Difficult Intubation Collaborativeで共同作成:John E. Fiadjoe, MD; Thomas Engelhardt, MD, PhD, FRCA; Nicola Disma, MD; Narasimhan Jagannathan, MD, MBA; Britta S. von Ungern-Sternberg, MD, PhD, DEAA, FANZCAとPete G. Kovatsis, MD, FAAP。
結語
この新しいガイドラインでは、初めて成人と小児両方の気道管理のエビデンスが含められた。装い(スタイル、プロセス、フォーマット)は同じだが、旧版とは根本的に異なる。リスク評価の重要性を強調し、いつ意識下気道管理を考慮するべきかの判断に役立つ新しいデシジョンツリー、タスク固定と経過時間の認識、気管挿管試行回数の制限、各介入後の換気評価について説明している。最後に、カプノグラフィーによる挿管確認、抜管計画、医療記録への気道管理の記載、患者への記録の提供の必要性を強調している。変化の最終段階へようこそ。
John Fiadjoe, MDは、マサチューセッツ州ボストンにあるボストン小児病院麻酔集中治療ペインクリニック科の副代表である。
David Mercier, MDは、テキサス州ダラスにあるテキサス大学サウスウェスタン麻酔ペインクリニック科の准教授である。
John Fiadjoe, MDは過去にAPSF助成金を受け取っている。David Mercier, MDには利益相反はない。
参考文献
- Apfelbaum JL, Hagberg CA, Connis RT, et al. 2022 American Society of Anesthesiologists practice guidelines for management of the difficult airway. Anesthesiology. 2022; 136:31–81. 34762729. Accessed April 22, 2022.
- Cook TM, Woodall N, Frerk C. Fourth National Audit Project. Major complications of airway management in the UK: results of the Fourth National Audit Project of the Royal College of Anaesthetists and the Difficult Airway Society. Part 1: anaesthesia. Br J Anaesth. 2011;106:617–631. 21447488. Accessed April 22, 2022.
- Joffe AM, Aziz MF, Posner KL, et al. Management of difficult tracheal intubation: a closed claims analysis. Anesthesiology. 2019;131:818–829. 31584884. Accessed April 22, 2022.
- Rosenblatt WH. The Airway Approach Algorithm: a decision tree for organizing preoperative airway information. J Clin Anesth. 2004;16:312–316. 15261328. Accessed April 22, 2022.
- Aziz MF, Dillman D, Fu R, et al. Comparative effectiveness of the C-MAC video laryngoscope versus direct laryngoscopy in the setting of the predicted difficult airway. Anesthesiology. 2012;116:629–636. 22261795. Accessed April 22, 2022.
- Ali QE, Amir SH, Ahmed S. A comparative evaluation of King Vision video laryngoscope (channelled blade), McCoy, and Macintosh laryngoscopes for tracheal intubation in patients with immobilized cervical spine. Sri Lankan J Anaesthesiol. 2017;25:70. https://slja.sljol.info/articles/abstract/10.4038/slja.v25i2.8200/. Accessed April 22, 2022.
- Cordovani D, Russell T, Wee W, et al. Measurement of forces applied using a Macintosh direct laryngoscope compared with a Glidescope video laryngoscope in patients with predictors of difficult laryngoscopy: a randomised controlled trial. Eur J Anaesthesiol. 2019;36:221–226. 30308524. Accessed April 22, 2022.
- Gupta N, Rath GP, Prabhakar H. Clinical evaluation of C-MAC videolaryngoscope with or without use of stylet for endotracheal intubation in patients with cervical spine immobilization. J Anesth. 2013;27:663–670. 23475442. Accessed April 22, 2022.
- Hazarika H, Saxena A, Meshram P, Kumar Bhargava A: A randomized controlled trial comparing C-MAC D Blade and Macintosh laryngoscope for nasotracheal intubation in patients undergoing surgeries for head and neck cancer. Saudi J Anaesth. 2018; 12:35–41. 29416454. Accessed April 22, 2022.
- Jungbauer A, Schumann M, Brunkhorst V, et al. Expected difficult tracheal intubation: a prospective comparison of direct laryngoscopy and video laryngoscopy in 200 patients. Br J Anaesth. 2009;102:546–550. 19233881. Accessed April 22, 2022.
- Liu L, Yue H, Li J. Comparison of three tracheal intubation techniques in thyroid tumor patients with a difficult airway: a randomized controlled trial. Med Princ Pract. 2014;23:448–452. 25171459. Accessed April 22, 2022.
- Malik MA, Subramaniam R, Maharaj CH, et al. Randomized controlled trial of the Pentax AWS, Glidescope, and Macintosh laryngoscopes in predicted difficult intubation. Br J Anaesth. 2009; 103:761–768. 19783539. Accessed April 22, 2022.
- Serocki G, Bein B, Scholz J, et al. Management of the predicted difficult airway: a comparison of conventional blade laryngoscopy with video-assisted blade laryngoscopy and the GlideScope. Eur J Anaesthesiol. 2010;27:24–30. 19809328. Accessed April 22, 2022.
- Serocki G, Neumann T, Scharf E, et al. Indirect videolaryngoscopy with C-MAC D-Blade and GlideScope: a randomized, controlled comparison in patients with suspected difficult airways. Minerva Anestesiol. 2013;79:121–129. 23032922. Accessed April 22, 2022.
- Zhu H, Liu J, Suo L, et al. A randomized controlled comparison of non-channeled King Vision, McGrath MAC video laryngoscope and Macintosh direct laryngoscope for nasotracheal intubation in patients with predicted difficult intubations. BMC Anesthesiol. 2019;19:166. 31470814. Accessed April 22, 2022.
- Bhatnagar S, Mishra S, Jha RR, et al. The LMA Fastrach facilitates fibreoptic intubation in oral cancer patients. Can J Anaesth. 2005;52:641–645. 15983153. Accessed April 22, 2022.
- Hanna SF, Mikat-Stevens M, Loo J, et al. Awake tracheal intubation in anticipated difficult airways: LMA Fastrach vs. flexible bronchoscope: a pilot study. J Clin Anesth. 2017; 37:31–37. 28235524. Accessed April 22, 2022.
- Langeron O, Semjen F, Bourgain JL, et al. Comparison of the intubating laryngeal mask airway with the fiberoptic intubation in anticipated difficult airway management. Anesthesiology. 2001;94:968–972. 11465622. Accessed April 22, 2022.
- Shyam R, Chaudhary AK, Sachan P, et al. Evaluation of Fastrach laryngeal mask airway as an alternative to fiberoptic bronchoscope to manage difficult airway: a comparative study. J Clin Diagn Res. 2017;11:UC09-12. 28274023. Accessed April 22, 2022.